DAVID GREEN デヴィド・グリーン講演

これまで医療マーケットから外されていた極貧困層に先進国並みの医療を届ける仕組みを創ったソーシャル・アントレプレナー。受益者は5000万人を超える。

従来の資本主義は、世界人口の10%に当たる「持てる人」を対象としてきました。そして、90%の「持てない人」は、「施し」の対象であり、先進国の私たち並みの生活レベルは値しないということを「当たり前」とすることに疑問さえ持たない時代が続いてきました。しかし、1980年代から、この思い込みに疑問を投げかける小さな声が聞かれるようになったのです。そのひとりデヴィド・グリーンは、自分の心の中に聴いた小さな声をたよりに目に見える変革の仕組みを生み出すための試行錯誤を始めました。
グリーンは先進国並みの医療を、BOP(Bottom of the Pyramid)人口、つまり世界人口の90%に当たる極端に貧しい人たちに届けるスキームの開発に着手を始めました。具体的には、まずインドをはじめとする途上国の失明の最大の原因である白内障を患う人たちに先進国並みの外科手術を先進国の2%程度の治療費で提供する仕組みです。インド政府が彼らに提供する無償の医療サービスは驚くほど低いレベルで、ほとんどの人たちが、まともな医療や薬品の恩恵にあずかることが出来ません。寄付と政府に頼っている限り、問題の解決はないと判断したグリーンは、1992年、Aurolab(オーロラブ)社を「社会起業」として興すという挑戦に乗り出しました。
グリーンは、 「心の資本主義:Empathic Capitalism」を提唱するだけではなく、具体的な値段設定として患者の収入に応じて設定する三段階の手術費用システムをつくりました。だいたい半分の患者が、「無償」、35%が「実費の3分の2」、約18%が「実費を上回る値段」を支払います。オーロラブが提携したインドのアラヴィンド眼科病院は4000床を持ち、安価な眼内レンズの開発により、年間22万ほどの手術を行う世界最大の眼科病院となりました。病院には35%〜40%の利益がもたらされ、寄付に頼らない独立経営が成り立っているのは、驚きに値します。このモデルには,高収入の患者の贅沢な部屋の入院料金、症例を増やすための外科医師による無償の手術などいくつかのイノヴェーションによって成り立っています。
このモデルを導入した眼科病院はインドの他に、ムハマド・ユニュス氏がグリーンに依頼して実現した、バングラデシュに8軒の他、ネパールやケニア、南米のエルサルバドルやガテマラ、エジプト、メキシコなどにおよんでいます。 1992年オーロラブ社創設年以来、これまでに白内障手術を受けた最貧困層の患者数は、5000万人に達しています。 また、1998年には、オーロラブ社で眼科外科手術用のナイロンの縫糸と眼科用縫い針の製造を開始しました。当時ジョンソン&ジョンソン社の縫い針が世界マーケットの85%を占めていたのですが,オーロラブ社はこの価格破壊を実現しました。それまでの13%ほどの価格を設定しても、オーロラブ社には、原価の5〜6倍の利益がもたらされます。
同時にグリーンは、極貧民のための補聴器の開発に乗り出します。1990年、安価で優れた質の聴覚器の開発に向けてのりサーチを1990年に始め、2003年には、最新式デジタル補聴器の生産を始めました。補聴器の価格は,国によって違いますが、欧米と同じ質の高い製品の販売額を、その10分の1ほどにすることを実現しました。2016年現在、米国、カナダ、メキシコ、テマラ、グアドミニカ共和国、パラグアイ、ナイジェリア、南アフリカ、インドなどが市場であり、さらなる拡大を続けています。

 

「私の人生の究極の目標は、苦しんでいる人たちの苦しみを少しでも和らげることです。そしてこの目標に近づくための私のやり方は、手に入る最高レベルの医療を彼らに届けることを可能にする方法を創りだすことなのです。」(談)

 

 

David Green is enabling developing countries to produce, distributer and service high-quality and affordable health care products. Having already directed the successful production and distribution of two products (intraocular lenses and surgical sutures), David is now launching an effort to manufacture and distribute top-of-the-line, cost-effective, cosmetically acceptable, and locally maintainable hearing aids. After earning both bachelor’s and master’s degrees in public health, David went to work for the SEVA Foundation, an instruction that has played a leading role in initiating efforts to reduce avoidable blindness around the world. With SEVA, he developed blindness prevention programs recognized for their excellence in service delivery, quality of surgery, financial self-sufficiency, and capacity to reach the disadvantaged.


デヴィッド・グリーン David Green
米カリフォルニア州バークリー在。
ミシガン大学及び大学院で公衆衛生学を納め1983年インドのSEVA財団に就職しインドに赴任。まず、途上国における視覚障害に着目する。
最貧困層が先進国の2%程度の治療費で白内障手術を受けられるスキームを確立した。同じく2007年に安価な補聴器を流通させるConversion Sound社を設立し、聴覚障害の領域での刷新も実現している。2001年にアショカ・フェローに選出される他、マッカーサー・フェロー、シュワブ財団SEOY、スピリット・オブ・ヘレンケラー賞などを受賞している。
公式HP : http://www.ashoka.org/node/3146


When: 2016年7月11日(月)19:00-21:00(開場:18:30)
Where: 日本財団会議室 アクセス方法
参加費:3,000円



Organized by:一般社団法人アショカ・ジャパン

 

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